(R-15)

「あー雄二郎さん? 新妻くんなら今風呂入ってっから」

アシの机に放ってあった携帯、勝手に取って返事をする。電波の向こう、担当はあとでかけ直すと言った。すぐにも電話を切りそうな雰囲気に口をはさむ。
そういえばちょっと次のキャラデザ見てほしいんすけどといえば面倒くさそうに、スケジュール見るから待ってと言われた。
ごそごそと、手帳でも探しているような音がして俺は口元を緩めた。背もたれによりかかり右足、すこし前に出すと足下ではうぐ、と声がする。机の下の目と目が合った。赤くうるんだ、強張る視線。俺は喉で笑った。

「ごめん雄二郎さんやっぱいいや」

じゃ、と一方的に電話を切り、着信履歴を消した。(新妻くんの着歴に載ろうなんて百年はえーよ雄二郎)そうしてまた机の上に放って、視線をもどす。
机の下では俺の師事する新妻先生が、息乱しながら俺の足にむしゃぶりついていた。戯れに指をその生暖かい口腔に押し込むと、はくはくと苦しげに新妻くんは呼吸した。

性にはとんと疎いのかと思えば、とんだ淫乱だった。俺の足をしゃぶるのが好きだと真顔で言ってしまうのだから真性だろう。俺に出会う前は自分のそれをしゃぶって一人で処理していたらしい。変態だ。(高校生、それも男を犯している俺だって人のことは言えないが)
そういうわけで変態同士、嗜好の合った俺たちは職場に二人になればたびたびこういうことをしていた。

よだれまみれの頬を親指の先で踏んだ。新妻くんはとろんとした目をかすか揺らし、口元をだらしなく緩ませた。犬みたいだと俺は思った。足の指だけで興奮したのかスウェットの前はもう突っ張っている。俺は立ち上がった。わざと頬骨を踏めば苦しみながらももぞもぞと足をうごめかせた。うめきには快感がにじんでいる。服を脱いでいるわけでもないのに足の指だけで欲情する少年は、表情だけでひどくいやらしい。
べたべたの足をスウェットの首元、引っかけて強引にこっちに寄せる。のどに突いたのか、げほごほと新妻くんはむせた。

夏の終わりかけ、隙間風の気になり出した夜、床に濡れた足を置けばひやりと冷えた。
脚を腰を脊髄を、背中を伝ってぞくりとする。フローリングに倒れ込んだ少年は物欲しげに俺を見つめていた。
細い腰を跨げば揺らめかせて、荒く呼吸を繰り返す。

「新妻くん、どうして欲しい」
「は・・・好きにして、いいですから、はやく、」
「俺は新妻くんのして欲しいことをしてやりたいんだよ」

意地悪くそう言うと、新妻くんはいつにない小声で言った。

「・・・・・あしの指で、気持ちよくしてほしいです」

珍しく羞恥でも感じているのか、弱々しく震えていた。サディストではないが嗜虐心がくすぐられる。立ったまま冷たい右足でスウェットの上を蹴った。つま先が肌を掠める感触さえ快感らしい、新妻くんはあ、あ、と細切れの声を上げた。あらわになった白い腹、そろりとなぞるとびくびくと悶えるのがたまらない。

「やらしいよな、新妻くん」
「はふ、ぁ、あう、」

下ろしていって、わざと触れずにいたそこに、かかとが触れるとびくりと新妻くんは肩を驚かせた。
衣服を纏えどすでに冷たく、あふれたものが染みをつくっている。立ち上がったそこをやわやわと押してやればたまらないとでもいうようにあっあっと喘いだ。引きちぎれるような声に興奮する。
我慢できなくなった新妻くんが背を丸め自分の手で、ズボンごと下着を下ろした。外気に触れた内股が震えている。勃起した性器はふるりと揺れた。

「まだ、脱いでいいなんて言ってないだろ、俺」
「ふあ、ごめ、ごめんなさい、ふくらさ、はぅっ!」

言い切れなかったのは俺が性器を踏んだせいだ。最初はゆるやかにそれからギリギリと、足の裏全体を使って押し潰すと悲鳴にも近い声で新妻くんは鳴いた。つよく体重を乗せると全身を突っ張らせて、新妻くんはとぷとぷと吐精してしまった。いやらしい鳴き声、水音、しずかな部屋にはよく響く。壁は数度反響していやらしい鳴き声を吸い込んだ。俺の右足にはすねまでべったりと白濁が飛んでジーンズを汚していた。

「新妻くんほんとやらしいな、踏まれただけでイっちまうんだ?」
「はっ・・はぅ・・・・は、あ・・・」

薄っぺらい胸はぜえはあといそがしく揺れている。ジーンズを濡らした嫌悪感にすら、そそられた。
ほらまだ終わりじゃねえよとしゃがみこんで乱暴に頭をつかみキスをした。とろんとした目にはただ快楽だけが映っていた。



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一部の友人にだけ公開していたが吹っ切れたので載せます
タイトルは指さして笑ってやってください
(2009.0807)