R-15
ぐちゃぐちゃと耳障り、部屋にこだまする。 汚い音に耳朶が汚れるような、そんな気がするが右手はかまわずただ動かした。何度か吐いた白とそれから腸液みたいな、どろどろとしたものが下腹から太腿にかけて、きもちわるい。つけっぱなしの黒い手袋に濁った白はよく映えた。 顔を上げれば、大きな鏡面が僕を見つめている。それ用に置いたベッドサイドの、つい立ほどの大きさの鏡。薄暗い部屋に白い手足が揺れるのを淡々と映していた。黒いシーツの上座り込み脚を開いてひとり、自慰に耽る、僕。 人目のない最上層三十二階、壁一面の窓に向かってしたってよかったがわざとカーテンを閉め切って、淫猥な自分を自分だけで愉しむのが僕は好きだった。このうつくしい僕が乱れる様を、他のだれも見ることはできないのだ、なんて愉悦だろう、薄く笑うと芯を持ったそこが揺れる。わざと左手の指輪を引っ掛けるようにして擦ると滴があふれては伝い落ちた。 背筋走る快感に唇が震える。一人きりになると外すサングラスの下、普段はあまり人には見せない目元、まつ毛の落とす影のかたちにさえ興奮した。鏡に映る僕はなんてうつくしいのだろう、自分自身を外側から堪能できないなんてルールを作った神はたぶん、ひどく頭がわるいのだとおもう。 あ、あ、右手の指が内壁をゆっくり擦るたび、喉が引きつり持ち上がる。この声も、僕以外には誰も、聞けやしない。歌声とはまたちがった、艶の乗ったワントーン高い声、鼓膜さえ欲情する。もし僕のAVをつくったならそれは高値で売れるだろう、億はくだらない。勿体ないからしないけど。(この芸術的な所作が、一般大衆向け32インチの痴態になるなんて、ありえない) どの角度から見れば自分がよりうつくしくみえるかなんてもう知りすぎているほどに知っている。 首をすこし傾げ左脚の膝は右よりやや低く、上着は臍までたくしあげてジーンズは右脚のふくらはぎに引っ掛ける。下品に開きはせず、すこし内股気味に、サングラスはてきとうに投げ捨てて。 そうして前かがみに、いやらしくせわしなく、両手を走らせる。あるときはじりじりと太腿のじれったくなるような力で自分を焦らし、あるときは声高に喘いでベッドを軋ませてひとり耽る。 黒い世界では僕の身体だけがその輪郭を主張し屹然とそこに在った。 革からはみ出たやわらかな指に感じる熱と、背を伝い落ちる汗の感触、突き上げる快感、そしてねちゃねちゃという汚い音、けれど僕の身体から生じるだけでまるで退廃的芸術を象徴せんばかりの濁音、それがすべて。(なんてきれいな、ぼくのせかい) ただ鏡に向かって擦り、悶え、夜が白むまでたゆたいつづける。 僕は僕だけの芸術作品だ。 ++++++++ こないだ言ってたの書いてみたよd(゜v´)☆ミ ところでコージィって、正しい変換は コー自慰なんだってようやく気づきました 遅くてすみません ← |