下品で具体的なのでR18










七峰くんとセックスをする。キスをする。デートみたいなものに出かけて押し寄せるハトにドン引きしながら餌やる七峰くんを携帯で激写したりもする。

いわゆるお付き合いというやつをしている。

付き合うに至った理由は省略する。たまたま音楽の趣味が合ったくらいのつまらない理由だ。

しかしつまらない理由から始まったってお付き合いしているからには週何回か裸で寝ることになる。するときはいつも僕がしたになる。したになる、としにたくなる、は似ているなと今ふと思った。したになると痛くて気持ちよくて痔にならないか心配でしにたくなる、が正しい僕の気持ちだろう。

初めて抱かれたときが一番しんどかったがこれでよかったとひどく痛切に感じたのも強く覚えている。七峰くんが痛い思いをしなくてよかった、そう思った。さすがに年下の男の子に突っ込んでいたぶる趣味はないし突っ込ませてもいいくらいには彼をゆるしていた。(たいへん生々しい話で恐縮だがカマトトぶっても仕方ない)七峰くんは僕に突っ込んで満足を得ているし、僕だって同じだ。男同士だからきちんと避妊具だって使わせているしぼくらの性生活にはなんの問題もないと思っていた。

というのが数十秒ないし数分前までの僕である。間違っていた。目の前には布団に正座したいつになく神妙な七峰くんの顔。このイケメンは僕が一瞬にして走馬灯するすこしまえひどく真剣にこうのたまったのだった。

「小杉さん僕にやられるばかりでつらかったら風俗とかいってもいいんですよ」

アホか。七峰くんいつもなら僕がきみに言われる言葉だが今日は返してやるきみはアホか。じぶんの恋人に風俗店をすすめるバカがどこにいる。ケンカを売っているのか意味がわからな、あっ …殴ってしまった。ぶつかった机のガタガタ揺れて我に返る。七峰くんは訳がわからないという顔でこっちを見ていた。もう一発殴ってやろうかと思ったがなんとか抑える。かわりにその腹に馬乗りになり俺はいった。

「このバカ野郎七峰くんきみは本当にバカだな、つらいし痛いけどきみが相手だからゆるしてて相手がきみだからちゃんと気持ちいいんだ。次あんなこと言ったら一発じゃすまないぞさあ僕を抱け」

とうとつに僕を抱けな意味がわかんないんですけど、七峰くんは情けない顔でそう言いながらも僕の下履きに手をかけた。だってぼくたち僕んちの布団でこれからセックスするところだったじゃないか、痛くたって、したいものは、したいのだ。

* * *

喉が痛い。さんざ喘いだせいで枯渇している。腰なんてへんに曲げたら悲鳴を上げてしまいそうだ。一番楽な姿勢に身体をゆるくまるめ後ろから七峰くんに腰をさすられている。多少はましになる。気持ち的に。

ちらりと目だけ振り返れば暗い中でも七峰くんがあいかわらず神妙な面持ちでいるのが見える。ひとつ息を吐いて、そうしてたずねた。なんであんなこといったの。返事はしばらくない。僕が疲れ果て眠りに落ちそうになるころ七峰くんはぽつりといった。

「だって僕は小杉さんとこれからも付き合うつもりだし…一生童貞なのはさすがに男としてあれじゃないですか」

噴き出しそうになった。それか憤死するかと。なんだってこの子のデレはいつでも超ド級なのだろう。頻度がひくいせいか。自己解決。もぞもぞと身をかえす。

「え、寝たんじゃなかったんですか」
「いや寝そうだったけど。…もう一回、する?」
「! はい」

あーもう嬉しそうな顔しちゃって。暗くて見えないと思ってるんだろうなそういう詰めの甘いところ俺けっこう好きだよ。口がにやけてしまう。小杉さんきもちわるいですよ。うるさいそんなら勃たせるな。スミマセンデシタ。

(それにしてもこの子俺と一生付き合うつもりでいるんだなあ)

若!(笑)

…まあそういうとこすごく好きだけど。




(2011.1105)